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BRASIL 「RO-ROコンビ」非難合戦の裏側 [THE JOURNALISTC]

カンピオナット  《ロドリゴ・ブエノ記者》
 「ブラジル史上最強の2トップ」の呼び声もあるロマーリオ&ロナウドの「RO-ROコンビ」。美しいコンビネーションでゴールを量産したレジェンドの2人が今、非難合戦を演じて話題を呼んでいる。その裏側に迫った。

美しいコンビネーションで 20試合で35得点を叩き出す
90年代後半に爆発力を見せたロマーリオとロナウドの「RO-ROコンビ」。引退後も良好な関係を築いていたが、近年は大舌戦を展開。
【】

いわば大衆派のロマーリオと 支配階級を支持するロナウド
ロマーリオが激しく罵ったFIFAのヴァルク事務局長と共に、W杯関連イベントに参加するロナウド。今や支配階級の一員だ。
【現役時代の実績は甲乙付け難く、ブラジル国内ではほぼ同格のレジェンド。この2人が近年、非難の応酬を繰り広げて話題を呼んでいる。
 最大の“火種”となっているのが、開幕間近のブラジル・ワールドカップだ。11年2月に現役引退したロナウドは、最終所属クラブとなったコリンチャンスのアンバサダーを務める傍ら、知人とスポーツ・マーケティング会社を共同経営し、テレビCMなどにも出演していた。そんな中、11年末に当時のCBF(ブラジル・サッカー連盟)会長リカルド・テイシェイラの要請を受け、ワールドカップ組織委員会の理事に就任。
( ー 中 略 ー )
 貧困層出身ながら、“フットボール成金”となって以降はエスタブリッシュメント(支配階級)を支持し、“日和見的”と陰口を叩かれながらも、世間の荒波を巧みに泳ぐ---。流石元スーパースターだけあって、現在でも注目度はかなりのモノだ。
( ー 中 略 ー )
 一方のロマーリオは、現役時代からクラブ首脳陣、監督などに公然と反旗を翻してきた根っからの反逆児である。
 私生活でも自由奔放に振る舞ってきた悪童だが、05年に末の娘がダウン症を患っている事実を告白。「彼女は俺のプリンセス。あの子がいるお陰で、障害者が直面している困難な状況を初めて知り、目が覚めた」と語った。
 そして、「スポーツ振興と障害者への福祉向上」という公約を掲げて、10年10月の下院議員選挙に出馬。庶民から圧倒的な支持を得て、見事に上位当選を果たした。・・・(略)・・・。「常に大衆の立場から物事を考える」が信条だ。
 それゆえ、理不尽があればどんな巨大権力にも構わず噛み付く。例えば、ワールドカップを誘致した07年当時、テイシェイラCBF会長とルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シウバ大統領は、「開催準備には公的資金を一切使わない」と断言していた。しかし実際には、12会場全ての建設工事に巨額の公的資金を投入。ロマーリオはこれを強く非難し続けている。
( ー 中 略 ー )
 更に、「このような形でワールドカップを開催してしまえば、絶対にブラジルのためにならない」と断言するロマーリオは、ワールドカップ開催反対を唱える大衆デモにも強い共感を示してきた。
 そんなロマーリオに対して、“体制派”のロナウドは「外から批判するのは簡単だ。彼は愛国心が足りないんじゃないか」と無防備に反論。
( ー 中 略 ー )
 こうして、かつてセレソンで華麗な連携を披露した「RO-ROコンビ」に、大きな溝が出来てしまったのだ。
( ー 中 略 ー )
 ただ、ロマーリオの真の“標的”はロナウド個人ではない。彼の背後にいるFIFAとCBF、そしてワールドカップ組織委員会だ。これらの巨大な敵を攻撃するため、特に考えもなく彼らの片棒を担いでいる(担がされている)ロナウドを叩いて、世間の耳目を集めようと目論んでいるのだ。】

デモなど複数の懸案事項は 大会を中止に追い込みうる
下院議員を務めるロマーリオは、大衆派を謳うだけあって、FIFAやCBF(ブラジル・サッカー連盟)など巨大権力にも構わず噛み付く。
【ワールドカップ開催によって、ロマーリオはFIFAやCBFに屈するのか---。いや、そうとも限らない。仮に開幕に漕ぎ着けたとしても、無事に開幕できる保証がマッタクないからだ。
 以前から指摘されているスタジアム建設の遅れは、サンパウロ、クリチーバ、ポルトアレグレの3会場がとりわけ頭痛の種となっている。最も深刻なのが、ブラジル対クロアチアの開幕戦が行なわれるサンパウロ・アレーナだ。3月末には特設スタンド取り付け工事に従事していた作業員が、9㍍の高さから落下して死亡。安全管理が杜撰なうえ、工事遅延を取り戻そうとして作業員に長時間労働を強いているサンパウロ会場で作業員が亡くなったのは、これで3人目。ワールドカップ会場全体では8件目の死亡事故となった。
 サンパウロ会場が実際に使用可能となるのは、開幕2週間前の5月末と見られており、試合実施には問題はないだろう。ただ、メディアセンターのIT機器設置などに、大きな影響が出るのは避けられない情勢だ。

 ただ、ブラジル・ワールドカップにおける一番の不安材料は、スタジアム問題ではない。最も懸念されるのが、大会期間中のワールドカップ反対デモだ。以前にも当コラムでお伝えした通り、デモには学生や若い労働者に加え、昨夏のコンフェデレーションズ・カップ以降に“ブラック・ブロック”と呼ばれる黒覆面のアナーキスト集団が参入。無差別な暴力行為を働いている。更に最近では、極右や極左のグループ、そして混乱に乗じて略奪行為に走る犯罪集団まで参戦し、市民に大きな恐怖を与えている。

 彼らは大会期間中、外国の選手団一行とサポーターを襲撃ターゲットにすると伝えられており、実際に外国人に犠牲者が出た場合、大会が中止に追い込まれる可能性は否定できない。

 また、労働組合が各種交通機関のストライキを計画しているという情報も無視できない。チャーター機で移動予定の選手団とて、空港職員がストに踏み切れば、勿論飛行機には乗れない。サポーターについても同様だ。仮にこれが現実となれば試合開催は不可能で、やはり大会は進行できなくなる。

 更に、ブラジル全土の刑務所で囚人が一斉に暴動を起こし、脱走しようとしているという、身の毛がよだつ風説もある。

 そして、ワールドカップやオリンピックなどのメジャー国際大会で恒例となっている犯罪行為も心配だ。外国人サポーターを狙って犯罪集団が開催地に集結し、空港、ホテル、スタジアムの周辺や商店街などで強盗、スリ、置き引き、更には“セクエストラ・レランパゴ”と呼ばれる短時間誘拐(車に押し込んで連れ去り、ATMで現金を下ろさせてから数時間で解放する誘拐)などが、懸念されている。

 国内の暴力的サポーター同士の衝突、アルゼンチン、ウルグアイなど隣国からやってきたサポーターの暴動、更に言えば外国人テロリストによる爆破事件なども、可能性はセロではない。

 これら数々の不安要素を考えると、主要空港の改装工事が大会までに終了せず利用者が多大な迷惑を蒙りそうなこと、大会期間中の国内航空券やホテル代が通常の5〜6倍まで高騰しそうなことなど、さしたる問題ではないようにすら思えてしまう。

 こうした懸案事項が実際に勃発してしまい、結果的にワールドカップが中止に追い込まれたら---。ロマーリオの勝利宣言は容易に想像が付く。
これまでいくつもの悪事を働いてきたFIFAとCBFに、神様が正義の鉄槌を下されたのだ」】 《この項・了》




《ワールドサッカーダイジェスト:2014.5.1号_No.410_記事》
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