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いつだって楽天南米_No.163 #362 [世界のサッカー事情]

“世界王者”の肩書きを持つ、トレゼゲがリーベルで爆発!!

【1部昇格に向けて、目下大奮闘中のリーベル。名門復活を期するそのリーベルで、今年1月に頼もしい助っ人として加入したトレゼゲが、まさに大活躍しています。
 トレゼゲと言えば90年代後半にモナコで、2000年からの10年間はユベントスで活躍。フランス代表のメンバーとしては98年ワールドカップ、更に2年後のEURO2000で頂点に立った大スターです。ユベントスを去った後は、スペインやUAEのクラブでプレーしていたトレゼゲが、新天地を求めて突然アルゼンチンに、しかも2部に降格したリーベルに移籍するなんて、きっと誰にも想像できなかったのではないでしょうか。
 トレゼゲはフランス生まれですが、2歳の時に両親の母国であるアルゼンチンに移住。サッカーを学んだのも、プロでビューを果たしたのもアルゼンチンというだけあって、チーム間のライバル意識の強さ、選手に息づく勝利への飽くなき執念など、この国のサッカーを熟知しています。
 最近はリケルメベロンのように、まだ欧州で活躍できる力がありながら、キャリアの晩年は母国でプレーしようとアルゼンチンに戻って来るベテランが増えていますが、トレゼゲからとくに感じ取れたのは、熱い情熱とチャレンジ精神。だって彼が選んだ移籍先は、未だに南米を代表するクラブの一つであるとはいえ、いつまで経っても赤字を抱えたままで、しかもバーラ・ブラバ(暴力的なサポーター集団)とのいざこざが絶えない、兎に角問題が山積みのリーベルです。そんなクラブの再建に一役買いたいというのですから、度胸溢れる“永遠の挑戦者”なのでしょう
 リーベルへの移籍が決まった直後は、周囲から大歓迎される一方、一部のファンから「どうせ高額の年俸が目当てだろう」などと冷めた声が聞こえてきました。1月に行なわれた非公式のトーナメントで対戦したラシン戦では、早速ゴールを決めて期待に応えたものの、その後は筋肉系の怪我が続いたり、チームのリーダー格であるカベナギとの不協和音が囁かれたりと、正直なところ「トレゼゲが来てくれて良かった」と心から思える状況ではありませんでした。
 それでも練習の紅白戦では、チームメイトに「流石(さすが)!!」と唸らせるほどにゴールを量産。アルメイダ監督は、かつてセリエAで得点王に輝いたこともあるストライカーの力が、リーベルにとって大きなプラスになると信じて、2か月ほどスーパーサブ的に起用し続けた後、3月17日に行なわれた2部リーグ25節のデポルティボ・メルロ戦で、遂にスタメンに抜擢します。
 すると、どうでしょう。世界チャンピオンの肩書きを持つFWは、先制ゴールで監督の期待に見事に応えて、3-0の快勝に大きく貢献します。更にスコアレスドローに終わった26節のヒムナシア戦を挟んで、続く27節のフェロカリル・オエステ戦では、PKでゴールを決めただけでなく、タイムアップ直前にはペナルティーエリアの左角から難易度の高いボレーで追加点。そのシュートのあまりの美しさに、チームメイトのGKベガは「信じられない」と言わんばかりに頭を抱え、17歳のオカンポスは狂ったように派手なジェスチャーで先輩のスーパーゴールを祝福していました
 アルゼンチン・リーグには現在、ベロンリケルメカモラネージのような「元代表」の肩書きを持った選手が何人かいます。いずれも別格の存在感を放っていますが、でも、チームメイトを唖然とさせるような「超人的なプレー」を披露しているのは、現時点ではトレゼゲだけです。
 あくまで「自分はチームの一員」という謙虚な姿勢を崩さずに、「世界チャンピオン」の肩書きに相応しい素晴らしいゴールを次々と生み出しているストライカーに、私もすっかり虜になってしまいました。トレゼゲの活躍によってリーベルが1部に返り咲く———。そんなシナリオの実現を、是非期待しています!!】 《この項・了》




《ワールドサッカーダイジェスト:2012.5.3号_No.362_記事》
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